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公式第十五回

【TOP NEWS】
・海老沢侑会長、中央大学大学院法学研究科"祝"合格!!
・新規入会者2人
・来年度の役職決めのために、後日、全員が集まれる時間(昼休み等)を作ることとする。

【活動内容】
・実行の着手
 実行の着手については、教科書によって、書かれる場所が異なっている。構成要件論で書かれたり、未遂犯論のところで書かれたりする。

・実行の着手を論ずる意義
 刑法の規定されている犯罪は、既遂犯を原則としている。しかし、法益の侵害が著しい犯罪などは、犯罪の結果が発生していなくても、処罰すべき(処罰の必要性がある)場合がある。そこで、刑法は、犯罪の実行の着手した段階から処罰する未遂犯の規定を置いている(43条)。
※1
 つまり、「実行の着手」は、ある行為を処罰するかしないかを区別する基準(予備と未遂の区別の基準)となる。そこで、「実行の着手」が何であるかを論ずる必要がある。

・学説
 主観説(新派から)…犯罪意思が明確に外部に表明されることor犯意の飛躍的表動が認められること
 客観説(旧派から)
  形式的客観説…構成要件に属する行為又はそれに近接密接する行為を行うこと
  実質的客観説…結果発生の現実的危険を惹起する行為を行ったとき
 折衷説…犯罪計画全体からみて法益侵害の切迫した危険を惹起する行為を行うこと


・問
 甲が、強姦の目的のもと乙女を無理矢理ダンプカーの運転席に引きずり込み、そこから5000メートル離れた川岸まで連行した上でトラック内にて強姦したが、引きずり込んだ際に傷害を負わせた。甲の罪責を論ぜよ(参考判例:最決昭和45年7月28日刑集24集7号585頁)。
 ヒント:強姦致傷罪(181条2項)は、傷害と強姦の前後関係は一般に問わない(密接に関連していればよい)。最終的に強姦致傷罪一罪か強姦罪(177条)と傷害罪(204条)の観念的競合(54条1項前段)かの何れかになる(…はず。これ以外にも考えられるかも知れないが、先ずは基本から)。

・181条2項に当たると解釈する場合
  無期又は六年以上の懲役
・177条と204条との観念的競合(54条1項前段)と解釈する場合
  三年以上の有期懲役
 このように法定刑に大きな差が出る。そこで、181条2項の実行の着手がどの時点で認められるかが、問題となる。
 実行の着手を認めうる時点としては、甲が乙女を引きずりこんだ時点と、甲が乙女を強姦した時点が考えられる。上に挙げた各学説に照らし合わせて、どの時点で、どのような理由で実行の着手が認められる(べき)かを考えてみましょう。 

※1…任意的減軽(~することができる。)と必要的減免(~する。)との違いに注意!

**復習**
Q1、実行の着手とは何か(形式的に)。
Q2、刑法43条本文を暗唱しなさい。
Q3、今回に事例において、実行の着手を確定する意義は何か(各説の違いに着目しましょう)。

**予習問題**
甲は、かねてから自分を裏切ってきた乙を見つけたので、ピストルを撃って乙を殺した。所が、甲は気が付かなかったが、実は乙も甲を殺そうと思っており、一瞬遅れれば、甲が殺されるという状況にあった。甲の刑事責任はどうか(司法試験昭和60年、平成元年口述類題)。



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