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総会

2012年10月17日
来年度からの役員を決めるため、ほぼ全員出席による集会を行う。
場所:B2「らうんじ」

決選投票により、会長1名、副会長2名、会計1名が決定。
後に書記2名就任。


公式第十五回

2012年10月12日
【TOP NEWS】
・海老沢侑会長、中央大学大学院法学研究科"祝"合格!!
・新規入会者2人
・来年度の役職決めのために、後日、全員が集まれる時間(昼休み等)を作ることとする。

【活動内容】
・実行の着手
 実行の着手については、教科書によって、書かれる場所が異なっている。構成要件論で書かれたり、未遂犯論のところで書かれたりする。

・実行の着手を論ずる意義
 刑法の規定されている犯罪は、既遂犯を原則としている。しかし、法益の侵害が著しい犯罪などは、犯罪の結果が発生していなくても、処罰すべき(処罰の必要性がある)場合がある。そこで、刑法は、犯罪の実行の着手した段階から処罰する未遂犯の規定を置いている(43条)。
※1
 つまり、「実行の着手」は、ある行為を処罰するかしないかを区別する基準(予備と未遂の区別の基準)となる。そこで、「実行の着手」が何であるかを論ずる必要がある。

・学説
 主観説(新派から)…犯罪意思が明確に外部に表明されることor犯意の飛躍的表動が認められること
 客観説(旧派から)
  形式的客観説…構成要件に属する行為又はそれに近接密接する行為を行うこと
  実質的客観説…結果発生の現実的危険を惹起する行為を行ったとき
 折衷説…犯罪計画全体からみて法益侵害の切迫した危険を惹起する行為を行うこと


・問
 甲が、強姦の目的のもと乙女を無理矢理ダンプカーの運転席に引きずり込み、そこから5000メートル離れた川岸まで連行した上でトラック内にて強姦したが、引きずり込んだ際に傷害を負わせた。甲の罪責を論ぜよ(参考判例:最決昭和45年7月28日刑集24集7号585頁)。
 ヒント:強姦致傷罪(181条2項)は、傷害と強姦の前後関係は一般に問わない(密接に関連していればよい)。最終的に強姦致傷罪一罪か強姦罪(177条)と傷害罪(204条)の観念的競合(54条1項前段)かの何れかになる(…はず。これ以外にも考えられるかも知れないが、先ずは基本から)。

・181条2項に当たると解釈する場合
  無期又は六年以上の懲役
・177条と204条との観念的競合(54条1項前段)と解釈する場合
  三年以上の有期懲役
 このように法定刑に大きな差が出る。そこで、181条2項の実行の着手がどの時点で認められるかが、問題となる。
 実行の着手を認めうる時点としては、甲が乙女を引きずりこんだ時点と、甲が乙女を強姦した時点が考えられる。上に挙げた各学説に照らし合わせて、どの時点で、どのような理由で実行の着手が認められる(べき)かを考えてみましょう。 

※1…任意的減軽(~することができる。)と必要的減免(~する。)との違いに注意!

**復習**
Q1、実行の着手とは何か(形式的に)。
Q2、刑法43条本文を暗唱しなさい。
Q3、今回に事例において、実行の着手を確定する意義は何か(各説の違いに着目しましょう)。

**予習問題**
甲は、かねてから自分を裏切ってきた乙を見つけたので、ピストルを撃って乙を殺した。所が、甲は気が付かなかったが、実は乙も甲を殺そうと思っており、一瞬遅れれば、甲が殺されるという状況にあった。甲の刑事責任はどうか(司法試験昭和60年、平成元年口述類題)。

公式第十四回

2012年10月04日
・役職の引継ぎについてのオリエンテーションを行う。
・次回以降の日程についてアンケート。

・ゲスト3人。

・「因果関係」を「論ずる」とは

 ・「条件関係」と「因果関係」の違いについて
  条件関係:あれなければこれなしの関係(コンディティオシネクワノンの理論)
  因果関係:原因と結果の間に生じる関係≠条件関係

 ・因果関係の判断基準に関する学説
  ・条件説
  ・相当性説
   ・主観的-↓
   ・客観的--→それぞれ「判断基準時」と「判断客体」が違った。
   ・折衷的-↑

 ・事例問題に対するアプローチ
  1、まずは事件に対して対応しそうな条文を挙げてみる。(刑法各論の論点抽出)
  2、条文をあげることができたら、その条文の想定できる典型例を挙げてみる。
  3、本件と典型例とどのように違うのか検討する。(刑法総論の論点抽出):議論ではこの部分に重点を置く。


**復習**
Q1.因果関係は、刑法総論の3つの柵でいうとどの分野にあたるか。
Q2.因果関係に関する学説の対立は、「不可抗力である天災」の事例でも意見の相違があるか。
Q3.相当性説から「いわゆる条件説(条件説にも多説あるためまとめる)」への有力な批判をひとつ出すとすると何があるか。


**予習問題**
 甲が、強姦の目的のもと乙女を無理矢理ダンプカーの運転席に引きずり込み、そこから5000メートル離れた川岸まで連行した上でトラック内にて強姦したが、引きずり込んだ際に傷害を負わせた。甲の罪責を論ぜよ(参考判例:最決昭和45年7月28日刑集24集7号585頁)。
 ヒント:強姦致傷罪(181条2項)は、傷害と強姦の前後関係は一般に問わない(密接に関連していればよい)。最終的に強姦致傷罪一罪か強姦罪(177条)と傷害罪(204条)の観念的競合(54条1項前段)かの何れかになる(…はず。これ以外にも考えられるかも知れないが、先ずは基本から)。

予習について

2012年10月02日
今週から(急だけど!)授業スタイルを進化させ、みんなと考えながら議論をする形式に移ろうと思います。

そこで、皆さんには予習をしてきていただきたい。
予習はいつもどおりここにあげます。

予定としては、ある事件が起こったことを想定して、皆さんに
1、どこが問題点なのか。
2、問題となる部分には、どんな対立があるのか。
を考えてもらってから活動に来てもらいたいと思います。


今回は、時間的にぎりぎり(調査の時間が水曜日一日しかない)となってしまったので、私(書記)がみなさんにしてほしい行動を解答として示しながら、予習問題をあげますので、見ておいてください。

**予習問題**
1、Aは、Bをちょっとシメてやろうと思い、Bを夜な夜な呼び出して一発頭に蹴りを入れた。が、Bは実は脳梅毒(ニューロシフィリス。血液感染で腫瘍ができ、神経を圧迫する病気)を患っており、結果的に死んでしまった。Aは殺人罪に問われるだろうか。それとも傷害罪だろうか。はたまた過失致死だろうか。
2、CはDを殺すつもりでDを学校の校庭に呼び出し、暴行した。途中、雨が降り出したが気にせずに暴行していると、よろめいたDが、旗を立てる3メートルほどの金属のポールに倒れ掛かり、そこにちょうど雷が落ちた。雷は見事Dを直撃し、結果的にDは死亡した。Cは殺人罪に問われるだろうか。


↓(解答)


今回は上記のような設問である。
まずみなさんにしてもらいたいのは、この1、2の問題からどこが問題になるか…もっと直接的にいうと、刑法の教科書のどの単元のところにこの問題が載っているだろうか考えてもらう。
これを「論点の抽出」という。
論点を抽出するためには、まず典型例を想定する。
普通人が人を殺す典型例は、ナイフで刺す。刺した相手が刺した結果死ぬ。これである。
これと本件を比較する。
本件の1も2も、典型例と大きく異なる点がひとつある。
BもDも、「AとCが想定した手段以外の経路で死んでいる」のである。AとCが行った行為が、直接的にBとDの死につながっていないのがわかるであろう。

次に、この典型例と違っている部分を指す論点を教科書から探す。(目次から探すのがやりやすいと思う)
これは「因果関係」の問題なのではないか、という推測ができる。(目次を見て、もしかして錯誤じゃね?って思った人…実は優秀。時間と興味があったら、出題者が想定してはいなくてもその部分を読んでみると、いいことがある)

このことを元に、大谷實先生の刑法総論を読んでみる。
因果関係の章の中に、これと似た事例が載っている。(確認)
次にその周辺を読む。
ここではどんなことが問題となっているだろうか。
(ここは申し訳ないがたった10pなので読んでもらいたい。文字を追うだけでもかまわない。内容を把握してほしいが無理には言わない)
「因果関係の理論」のところを読むと、説が並んでいる。
どんな説があるか、整理してほしい。


ここまでをしておくと、サークル活動に積極的に参加できるようになる。
ここからの作業はとてつもなく苦労するものだろうとおもう。だが、学問を修める第一歩として、練習のつもりで取り組んでほしい。
今回はうpが遅かったことを陳謝します。

公式第十三回

2012年09月18日
「責任」について

・「責任」を語る必要性
 →刑法は国民の自由を保障していた。(刑法の自由保障機能)
  →自分がわざとやった行為については自分で責任を負うべきだが、他人がした行為に責任を負っては国民がびくびくしながら生活をしなければならない。(ある日突然警察がやってきて、誰か別の人が犯罪をしたからといってあなたを捕まえにくるような社会が自由を保障しているとはいえない。):個人責任
   →刑法上の責任の範囲を明確にする必要がある。

・「責任」の内容
 ・「責任」とは、構成要件に該当する違法な行為をなしたことについての道義的責任、非難可能性をいう。
  →一人間として、その人が犯罪行為をしたことを非難できるかどうか:主観的責任
  ex.非難できないと考えられる例:赤ちゃん、障害者、よっぱらい

・「責任がある」というための要件(突破すべき壁)
 1、構成要件に該当し違法であり、さらに行為が違法であるという意識があること
 2、故意または過失があること
 3、責任能力があることーーーーーー↓
 4、期待可能性があることーーーーーーー→「責任阻却事由」

・「責任能力」とは
 →「刑法上の責任を負いうる能力」より詳細に言うと「事理を弁識し、または弁識に従って行動する能力」
  →あたらない例:刑事未成年(14歳未満くらい:そもそも事理を弁識できない扱い)・障害者(弁識した良心に従って行動できると考えられない)など
 ・責任能力は裁判時に審理されるが、責任能力の有無については行為当時を基準とする。

・原因において自由な行為
 ・責任能力の有無についての判断基準時は「行為時」。
  →「行為時」に責任能力がなければ処罰されないと言い切ると問題が生じる。
   ex.酒乱であるのを知っていてあえて酒を飲んで暴行に走った
  →処罰すべきではないか?
   →Y1、処罰すべきである。酒を飲むことがもはや犯罪行為の手段である。
   →Y2、処罰すべきである。因果性の有無から判断して、責任能力の判断時期をずらせばよい。
   →N、責任能力がないのだから、処罰できない。


**復習**
Q1、責任能力の判断基準時は「行為当時」とする原則を、なんというか。
Q2、刑法39条2項は「精神の障害により行為の違法性を弁識する能力、またはそれにしたがって行動する能力が著し低い者」について規定しているが、このような人のことをなんというか。漢字で書け。(ぜひ一度『手書きで』書いてみてほしい。テストでいきなり出ると困惑するものである:当社調べ)
Q3、Aは、「車で人をひいてみたい」と思って39条を確認し、責任能力がなくなっていれば処罰されない(もしくは減軽される)と考え、酒を飲んで車に乗ったところ、家から10mはなれたところの検問で捕まった。Aを「殺人未遂」として処罰すべきか。(根拠は難しいので、すべきかどうかだけでよい。考えてみてほしい)
Q4、Bは、「自分はてんかん持ちである」と知っているが、それをあえて隠して免許を取り、彼女を連れてドライブに行った。Bはその際、(人をひき殺すかも知れねぇなぁ…ま、いっか)というところまで予定していた(これを未必の故意といい、今回は故意ありと判断する)。このBについて、「殺人未遂」で処罰すべきか。その際、Q3Aとの相違も検討してほしい。

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