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公式第十一回

・基本書紹介
  前回扱った内容(結果無価値論と行為無価値論)を踏まえて、これからの刑法の自習の際に、参考にしてください。
  行為無価値論者の基本書
   大塚仁『刑法概説(総論)〔第四版〕』(2008年、有斐閣)
   佐久間修『刑法総論』(2009年、成文堂)
   大谷實『刑法講義総論 新版第4版』(2012年、成文堂)
  結果無価値論者の基本書
   西田典之『刑法総論〈第二版〉』(2010年、弘文堂)
   前田雅英『刑法総論講義 第5版』(2011年、東京大学出版会)

・予習問題の確認
 Q1、「条件関係」とは、その「行為」がなければその「結果」が生じなかったであろうと推測される関係。
 Q2、因果関係の判断基準は大きくわけて、「条件」説と「相当」因果関係説があり、後者はさらに3つに別れるとされる。
 Q3、因果関係の問題でよく例に挙がる有名な判例は、加害者は目を殴っただけであったが、被害者が「脳梅毒」だったため死亡した事件。

・因果関係(本題)
  因果関係は、犯罪の要素として紹介した構成要件該当性、違法性、有責性のうち、構成要件該当性についてのものである。そして、構成要件該当性の要素(構成要件要素)のなかの、行為(実行行為)と結果とを結ぶ、原因・結果の関係のことを言う。
  具体例を挙げれば、「Aが傷害の故意でBを殴ったところ、Bが救急車で病院に搬送される途中で、交通事故により死亡した。」とか、「Aが傷害の故意でBを殴ったところ、Bの搬送された病院で、大地震が発生し、それによる火災でBが焼死した。」という事例が挙げられる。この場合において、Aの傷害行為とBの死亡との間に、刑法上の因果関係を認めて、Bの死亡についての刑事責任をAに負わせてよいかという視点から、議論を進めた。
 ・学説
  条件説:実行行為と結果との間に条件関係(Q1参照)が認められる限り、刑法上の因果関係を認める立場。
  相当因果関係説…社会生活上の経験に照らして、その行為からその結果が発生することが一般的であり相当性がある場合に、刑法上の因果関係を認める立場。
   折衷説…行為時において、一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識していた事情を、相当性判断の基礎とする立場。
   主観説…行為時において、行為者が認識し得た事情及び認識していた事情を、相当性判断の基礎とする立場。
   客観説…行為時に存在した一切の事情及び行為後の事情のうち一般人が認識し得たものを、相当性判断の基礎とする立場。
 ・事例
  今回の活動で扱った事例を挙げておきます。それぞれの事例について刑法上の因果関係が認められるか、各説に即して、もう一度考えてみてください。
  ・【脳梅毒事例】Aが、傷害の故意でBの頭部に全治10日程度の傷害を負わせたところ、Bが脳梅毒であったため、Bが死亡するに至った事例。(なお、Bが脳梅毒であったことは、Aも一般人も知らず、かつ、知り得なかったものとする。)(参考:最判昭和25年3月31日刑集4巻3号469頁)
  ・【医師の過失行為介在事例】Aが傷害の故意でBに傷害を負わせたため、Bが病院で医師の治療を受けたところ、医師の医療ミスによってBが死亡するに至った事例。(参考:大判大正12年5月26日刑集2巻458頁)

**復習**
Q1、「犯罪」とはなにか。
Q2、「(刑法上の)因果関係」とは何か。
Q3、「条件関係」とはなにか。
Q4、「条件説」「折衷的相当因果関係説」「主観的相当因果関係説」「客観的相当因果関係説」のそれぞれについて、説明しなさい。
Q5、上記の【脳梅毒事例】【医師の過失行為事例】について、Q4で挙げた各説からの結論と、それらの理由を、それぞれ説明しなさい。

**予習**
Q1、行為が形式的に刑法上の行為規範に違反することを「??????」という。
Q2、実質的違法性の内容については、大きく分けて「????」説と「????」説があり、それに加えて、両者を統合した二元説がある。
Q3、違法性の本質については、大きく分けて「??????」論と「??????」論がある。
Q4、違法性の要素は、「???????」と「???????」とに分かれる。
Q5、刑法36条によれば、正当防衛とは、「???????」に対して、自己または他人の「?????」するため、「????????」行為である。
Q6、正当防衛の要件として防衛の「??」が必要か否かについては、争いがある。



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