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公式第十二回

「違法性とは」

・違法性は、犯罪の構成要素のひとつである。

・刑法に規定された行為をすると、構成要件に該当する。構成要件に該当すると、違法性があり責任もあると(大部分の学者・最高裁は)推定する。
 ←刑法には自由保障機能があった。人間は基本的に自由なのである。刑罰の行使が広範になされては、とても自由とはいえない。そこで、刑法は「処罰に値する犯罪」のみを処罰する。そのためには「処罰に値しない犯罪」を排除する必要がある。その一つ目の柵が違法性の柵であり、その柵は「違法性阻却事由」によって処罰すべきでないものをはじき出す。

・「違法」とは、法がその行為ないし事実を許さないこと。(刑法が持つ理想の国家を作るため許されない行為を規定したのが刑法だった。)
 ・「許さない」とは、どういう状況であるか。
  →法に反している行為は違法であるはずである。刑法73条以下に規定された行為は「禁止規範」なのであるから、これに反したら違法である(形式的違法性)はずである。
   ex.赤ちゃんが人を殺すこと=人間が人間を殺すこと
  →ところが人はいろんな事情で犯罪「らしき(あくまでまだ推定段階)」行為をする。パッと見法律に反しているが、その人を法に反しているからといって処罰に値するレベルの違法性があるかどうかは、内容を見なければわからない(実質的違法性)。
   ex.人を刃物で切り刻んでいる人がいるが、その人は医者だった。→刑法的には禁止されているが、同時に医師法で許されている(この部分は形式的違法性の判断)。→しかしこの医者が切り刻んでいたのが病気とまったく関係ない場所であった場合には別途考慮が必要なはず(この部分が実質的違法性の判断)。
 ・違法である判断はどのようにすべきか。(違法性の実質)
  →「第一の枠はかっちり決める」の説明から、行為を客観的に見て決める(客観的違法性)。刑法は評価規範と決定規範に分けられるが、構成要件に該当する行為をすると「違法である」と「評価」され、さらに35条から37条にあたる場合には、「違法でない」と「評価」される。
  →「違法である」ことは、法が禁止した行為を「あえてやった」という故意が必要である。故意は心の中のことなので、客観的に見ることはできないはずである。(主観的違法性)
 ・「何」をみて「許さない」と判断するのか。
  →どんな犯罪にも過程がある。その過程の客観的な部分、主観的な部分のどこを判断要素にできるか:上記主観的違法性と客観的違法性の説の傾斜によって、重要である・ない、使える・使えないがわかれる。

・「違法性阻却事由」
 ・刑法は35~37条に違法性を阻却する事情を規定する。
 ・授業では、正当行為・正当防衛・緊急避難について触れた。授業で扱った部分は非常に少ないので、各自基本書・教科書・参考書などで確認してほしい。すごく細かい事件もある。


**復習**
Q1、刑法には「違法性」について規定した部分があるか。
Q2、Aは、恋人を奪われ以前から恨みを持っていたBを、人気のない暗闇で背後からナイフで一突きし、Bを失血死させた。…このような事件の中には、どのような「客観的違法要素」があると考えられるか。いくつでもよいので考えてほしい。
Q3、あなたはAの元彼女である。AはBを殺した後、あなたを呼び出して心中しようとあなたを自室へ呼び出し、ナイフで肩をちょっと切りつけた。あなたは軽い怪我を負いつつ、必死に逃げたがAはものすごい形相で追ってくる。逃げるのに夢中だったあなたは、途中、通行人のCを突き飛ばしてしまった。Cは倒れたときに頭を強く打ち、死亡した。後日、Aが逮捕された後にCの遺族がやってきてあなたに「この殺人者め」と呼ばれることとなった。あなたはどのように遺族に反論すればよいか。今回の授業を参考に主張してほしい。

**予習**
Q1、責任とは、行為者が構成要件に該当する違法な行為をしたことについての「?????」をいう。
Q2、わが刑法の責任の概念は、『「??」がなければ刑罰はない』という近代刑法の基本原則に基づいている。
Q3、責任主義とは、犯罪が成立するためには、「???」責任および「??」責任を内容とする責任が必要であるとする原則である。
Q4、規範的責任論によれば、責任の内容は、「??」能力、「??」・「??」、「???」の意識(とその可能性)、「??」可能性である。
Q5、心神喪失者とは、精神の障害により行為の違法性を「??」する能力、または「??」に従って「??」する能力がない者をいい、心神耗弱者とは、それらの能力が著しく低い者をいう。
Q6、責任能力は犯罪行為の時に行為者に備わっていなければならないという原則を、「??」と「????」との同時存在の原則という。
Q7、「???????????(11文字)」とは、みずから精神の障害を招き心神喪失・耗弱の状態で犯罪の結果を惹起した場合であり、その結果については完全な責任を問う。



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